「人は、つねに合理的な判断をしているわけではない」
われわれが常識のように学んできた「経済学」は、そもそも人間は「合理的な判断」をする生き物であるという前提に立っています。
たとえば、100円得をしたときの嬉しさと、100円損した時の悲しさは、同じ感情の振れ幅だと考えられてきました。
ところが、人間は、利得よりも、損失をより強く感じる性質を持っています(=損失回避の法則)
100円損する危険があれば、時には、100円以上に高いお金を払って、その損失を回避したいという心理が働くのです。
ちなみに、上記の心理をうまく活用している業界があります。おわかりですか?
「保険業界」ですね。
このように、消費行動に現れる人間の「非合理性」を論じるのが「行動経済学」です。
何やら難しい学問のような響きがありますが、まったくそんなことはありません。むずかしい数式が出てくるわけでもない、完全な「文系」学問です。一言で言えば、「ビジネス心理学」と言い換えてもいいでしょう。
もし、モノやサービスを売ることに携わっている人がいるなら、
下手なマーケティングの本を読むよりも、よほど、タメになります。
特に、心理学が好きな人には刺さると思います。
私は、すっかりハマってしまって、何十冊も読んでいます。
そこで、このブログでは、とにかく読めば読むほどハマってしまう。
超面白い「行動経済学」の本を、3冊、厳選しました。
ではランキング1位から、いきましょう・・・
第一位:「影響力の武器」シリーズ
厳選3冊といった下の根も乾かない内から、4冊まとめて紹介しますが、
大、大、おすすめが、ロバート・チャルディーニ先生の、
有名作、「影響力の武器」シリーズ4冊です。

影響力の武器シリーズ
文体は易しく、語り口はミステリーのように面白く・・・
私は、この本を電車で読んでいて、面白すぎて3駅ほど乗り過ごした経験があります。
シリーズは、4冊ほど出ているのですが、どれも、抜群。
でも、1冊だけ選ぶとしたら、第一弾、青い表紙の「第三版」です。
ちょっと、中身をご紹介しましょう。
例えば、人は等しく、「一貫性」の法則をもっています。簡単に言えば、
「自分が、発言したことや行動したことに、矛盾が起きるのを嫌う」
という性質があります。
この法則を、「レストランの予約受付係」が、日々の業務に応用しました。
予約を受け付けた際に、電話の最後に、

変更がありましたら、ご連絡ください
といっていただのですが、それを止め、代わりに、

変更がありましたら、ご連絡いただけますか?
と相手に尋ね、「答え」を待つようにしたのです。
これだけで、レストランの予約のドタキャン率が、30%から10%に減少したというのです。
なぜだかわかりますか?

ご連絡いただけますか?
という質問に、

はい
と答えると、その後で、自分が回答した文言を裏切ることができなくなり、ドタキャンをしにくくなるわけです。つまり、自分の発言の「一貫性」を守りたいという心理が働くわけです。
これは、レストランの予約係仕事だけでなく、全ての人が誰かにモノを頼む時に使えるテクニックではないでしょうか。
こんな実用的な話がバンバン入っているので、400ページ以上ある、ハードカバーの分厚い本ですが、するすると読めてしまいます。超おすすめです。
第二位:ファスト&スロー (上・下)

ファスト&スロー 上・下
おそらく、行動経済学本の中で、もっとも有名な本。
ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマン先生の著作で、
発売以来、もう8年位たちますが、今でも本屋さんに行くと、「東大で一番読まれた本」という帯がついて文庫本が山積みになっていたりします。
読みやすさで言えば、「影響力の武器」の方が上ですが、十分に理解しやすい内容です。
実験結果や事例が大量に掲載されていて、飽きさせません。
中身の説明は省きますが、本棚に収めておくと、格好がつく本なので、文庫本よりは、単行本の方がいいかも。私は文庫本で読んでしまいましたが…
第三位:反脆弱性(上・下)
「ブラックスワン」や、「まぐれ」を書いた、ナシーム・ニコラス・タレブ先生が買いた、「リスク」に関しての新しい視点を与えてくれる本。
とにかく凄い人で、詳しい経歴は、ウィキペディアに載っているので、是非みてください。
メチャクチャあたま良さそうで、読みたくなると思います。
「どうせ難しい本なんでしょ~?」と思われるかもしれないが、全然そんなことはありません。
すごくユーモアもあって、ダラダラと読める本です。
タレブ先生は、本書の中で、世の中にあるあらゆるものを、
リスクに対して、「脆い(もろい)・頑強・反脆い(はんもろい)」の3つに分類しています。
「脆い」(もろい)と「頑強」は分かりやすいでしょう。
例えば、新型コロナ禍の下にある、職業。
「飲食店」は、脆い・・・コロナで自粛。家賃が払えず大ダメージで倒産の危険性。
「公務員」は、頑強・・・景気がどうであれ、給料は変わらない。
しかし、「反脆い」(はんもろい)とはどういう存在か?
「反脆い」とは、逆境をバネに成長することができるようなポジションのことを言います。
例えば、「占い師」。
もし、普段は、ビアバーなどに出没して「占い」をすることで生計を立てていたとしても、自粛でバーでの仕事がなくなるかもしれません。
でも、ファンがついていれば、「オンライン占い」を始めれば稼ぐことが可能です。もしかすると、不況で、不安に満ち溢れたアフターコロナ社会なら、従来以上に儲けることができるようになるかもしれません。
この「反脆い」という概念を、上下巻合わせて800ページ以上で解説をしていくのですから、先が思いやられる人もいるでしょう。でも、大丈夫!
タレブ先生は常に、ユーモアを忘れないので、その軽快な語り口にハマってしまうことでしょう。

こんなカッコいい本をいつかは書きたい!
つくづくそう思います。多分無理。脳みそがタレブ先生の100分の1もないので・・・
おまけ:電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。
3冊までの約束だったのに・・・(笑)
最後にもう一冊、とても、易しくて読みやすい、行動経済学の本を紹介します!

またかよ!(笑) 電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。
広告会社に勤めているプランナーが、「行動経済学」のセオリーを用いて、爆発的な売上をつくることに成功しており、その手口を、この一冊で全部公開してしまうという、恐ろしくチャレンジングな内容になっています。
もし、ご興味あれば、手に取ってみてください!
コメント