私は、1日に1冊程度、年間で300冊~400冊くらいの本を読んでいます。
しかし、実は、最初から最後まで、全てに目を通す本は、その中でも数十冊しかなく、
ほとんどが、ざっと読み&途中までなど、完読を待ち望んで「積読」されている本です。
そんな私に、帯に書かれているこの文章が刺さりました。
読めない事ことにうしろめたさを覚える必要などない。
たしかに本は、人に「いま」読むことを求めてきます。
でも、それと同時に、書物は「保存され、保管される」ものとして
作られたものだったことを
思い出してください。
情報が溢れかえり、
あらゆるものが積まれていく時代に
生きているからこそ、
書物を積むことのうしろめたさに耐えて、
あなたは読書の前にまず
積読をするべきなのです。

あぁ・・・積読がうしろめたかった!
わたしは、中身を読むことなく、すぐにこの本をレジに連れて行きました。
我々は、ありとあらゆる情報を「積んで」いる。
本だけでなく、見たい映画、遊びたいゲーム、学びたい学問・・・
自分が見たい、聞きたいといったコンテンツを消化する時間は自分の人生に残されていない。
その前提に立つことが大切だと説きます。
まず、この諦念をもて!という視点で、すでに、積読に後ろめたさを感じている私に救いの手が差し伸べられます。
情報の濁流の中に、自律的な積読環境「ビオトープ」をつくるべき
ビオトープとは、聞きなれない言葉ですが、「ある場所の小さな生態系」という意味で、イメージするのは、学校の校庭の片隅にある、メダカなどが住んでいるあの池のことをいうそうです。
本書には、「本」の読み方について、著者と同じように、思考を巡らせた、数名の作家が登場します。
ピエール・バイヤール「読んでいない本について堂々と語る本」
モーティマー・J・アドラー「本を読む本」
ショーペンハウアー「読書について」
それらを紐解いていくことで、そもそも、「読書」とは「積読」の一部であるということに納得させられていきます。(上記の三冊は、すべて積読していました(笑))
その後、書物は戦略的に使うべきだと唱える
〇山口周「外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術」
や、必要な、本以外は、積読しないで断捨離しようと唱える
〇近藤麻理恵「人生がときめく片付けの魔法」
などを用いて、積読の正しさを反証していきます。
個人的には、
〇ダニエルカーネマン「ファスト&スロー」
〇ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」
なども登場して、現代の我々が直面する「ファスト思考」&「スロー思考」の解説が飛び出すなどの幅の広さが面白かったです。
「積読」への後ろめたさがなくなる本
最後に読みたい本のリストをつくって、それがクラウドであろうと図書館であろうと構わないから、本書で推奨するビオトープ的積読環境をつくりませんか?という推奨で結ぶのですが、見事に「積読欲」が増大している自分がいた点で、本当に良書に巡りあった気がします。
本が好き。だけど、「積読」している本の多さに、あまりいい気がしていない。
そんな人には、ぜひともお勧めしたい一冊です。
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